こども・思春期を対象とした心理療法

グループ・スーパーヴィジョン

2022年度のご案内 

 こどもはプレイの中で言葉にならない情緒を表現します。思春期においても,こどもは言葉にならない言葉を面接室に漂わせます。こどもの臨床に関わる私たちは,それらを感じ取り,考え,その意味を理解していく営みを続けていくことになります。そして,こどもたちが何に困り,どのような心的状態にあるのか,こどもの表現と必要な情報から見立てていき,適切な介入を行っていきます。
 実際にこの一連の基本的な流れを身につけるためには,長期の臨床実践と訓練を要します。こどもが何を表現し,私たちがどのように理解し,関わったのか,という交流や関係性を絶えず検討していくことが大切になってきます。
 臨床実践を行う中で私たちは,心理療法やカウンセリングで,自分がいったい何をしているのか分からなくなることが多々あります。分からない状況をもちこたえて,考え続けることができるかどうかは,セラピストの力量を決定することになるでしょう。
 今回企画されたグループ・スーパーヴィジョンは,こども・思春期の心理療法やカウンセリングでの関わりを迷いながらも探求したい臨床家を,力動的な観点からサポートいたします。提示していただく事例は、構造化された心理療法だけには限りませんので、日常の臨床実践を振り返り、何が展開しているのかを考えていきましょう。

◆日時:奇数月の第2日曜日,9時半~12時の2時間半。

(全6回:5/8,7/10,9/11,11/13,1/8,3/12)

   *午後には,「こども・思春期精神分析セミナー」が開催されます。

◆場所:こども・思春期メンタルクリニック(東京都新宿区市谷本村町3-22ナカバビル9A

◆スーパーヴァイザー:木部則雄・吉沢伸一 *ふたつのグループを交互に担当します。

◆募集人数:12名(6名のグループをふたつ作ります) 

参加費用:33,000

◆参加資格:原則的に,午後の「こども・思春期精神分析セミナー」の参加者。事例を提示でき,子どもの精神分析的心理療法の技術を身につけたい方。グループ・スーパーヴィジョンで提示するケースは精神分析的心理療法を実践したケースでなくても構いません。普段行っているプレイセラピーあるいはこども・思春期の面接,スクールカウンセラーでのケースなどを,力動的な観点から再検討したい方。こどものセラピーに携わる,臨床心理士,臨床心理専門職,精神科医・小児科医。

スーパーヴァイザー

  • 木部則雄 :

 1983年京都府立医科大学卒業後,聖路加国際病院小児科にて小児科医として臨床を開始し,帝京大学医学部付属病院精神神経科を経て,タヴィストック・クリニック児童家族部門に留学。帰国後,子どもの精神分析的心理療法の実践および後進の訓練に尽力。現職は,白百合女子大学文学部児童文化学科発達心理学専攻教授,こども・思春期メンタルクリニック院長。著書に『こころの発達と精神分析-現代藝術・社会を読み解く』(金剛出版),『こどもの精神分析』『こどもの精神分析Ⅱ』(共に岩崎学術出版社),監訳書に『乳幼児観察入門: 早期母子関係の世界』(創元社),『発達障害・被虐待児のこころの世界』『こどものこころのアセスメント』『発達障害・被虐待児のこころの世界』(共に岩崎学術出版社),『こどものこころの環境―現代のクライン派家族論』(金剛出版)などがある。

  • 吉沢伸一 :

 2004年青山学院大学大学院を卒業。臨床心理士。現在,ファミリーメンタルクリニックまつたににて,主に力動的な観点から,こどもと思春期の心理療法を実践している。共著に『精神分析/精神科・小児科臨床セミナー 総論:精神分析的アセスメントとプロセス』(木部則雄編著:福村出版),『新訂増補 パーソナリティ障害の精神分析的アプローチ―病理の理解と分析的対応の実際』(松木邦裕・福井敏編著:金剛出版),共訳書に『子どものこころの生きた理解に向けて―発達障害・被虐待児との心理療法の3つのレベル』(脇谷順子監訳:金剛出版),『心的変化を求めて:ベティ・ジョセフ精神分析ワークショップの軌跡』(松木邦裕監訳:創元社)がある。

申し込み方法:2020年度グループ・スーパーヴィジョン希望」という件名のメールで,以下の必要事項を明記し,kodomopsycho@yahoo.co.jpまでお送りください。メールにて,振込先をご連絡いたします。振込の確認をもって正式な参加とさせていただきます。

①氏名,②勤務先,③臨床歴,④連絡先(メールアドレス&電話番号),

⑤参加動機,⑥グループ・スーパーヴィジョンで提示したいケースの主な概要(100字程度)

応募期限:2020年228日(定員に達した時点で,締め切らせていただきます)

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2022年度 こども・思春期精神分析セミナー
「現代のこども・思春期のこころの世界」

 こころの世界は社会と同じように変化しているため、私たち臨床家はその変化とその背景にあるものを捉え続けていく必要がある。この半世紀でも、不登校、ひきこもり、新型鬱病、虐待・DV、発達障害など新たなテーマが社会的問題として浮上してきている。現代人のメンタリティも時代の流れに沿って刻々と変化し、精神症状にも変化が生じている。例えば、統合失調症の軽症化、ボーダーライン・パーソナリティ障害の減少をはじめ、解離や離人の多様化と複雑化、鬱状態の変質、自閉スペクトラム心性の広がりなどの変化により、私たち臨床家は多様な臨床像の理解と関り方をめぐり再検討する必要性がでてきた。

 このように社会とこころは連動しているが、今の時代は、以前と比べ、価値観の多様化、新しい秩序の生成、境界線の喪失などの諸要素により、一様には定義し難い。それゆえに、現代社会をどのように捉え、そこに生きる人間、とりわけ次に社会を担っていくこども・思春期の者たちのこころの世界を理解し考え続ける姿勢が求められているのではないだろうか。

 今年度は、精神病理の第一人者である精神科医の内海健先生と、医療人類学の視点を持ち心理療法を実践し近年こころについて重要な問題提起をしている臨床心理士の東畑開人先生のお二人をお招きしています。 本セミナーは、ポスト・クライン派精神分析の視点を中核に起きつつ、それに加え、時代の流れの中で重要となりつつある視点も盛り込み、共に学び合う場を作りたいと考えています。

 昨年度に引き続き、今年度も会場参加とZoom参加のハイブリット開催をいたします。これまで参加できなかった関東以外の臨床家の方々のご参加も歓迎いたします。

                                          主催:こども・思春期精神分析研究会 木部 則雄

◆日 程
2022年5月~2023年3月までの奇数月(全6回)第2日曜日 13時~16時45分
※受付開始は 12 時 50分からとなります。
◆形 式
前半は講義、後半は症例検討
◆会 場
TKP 市ヶ谷カンファレンスセンター
◆対 象
こども・思春期を対象とした精神分析的セラピーに関心のある医師、心理臨床家、もしくは現在専門的にそれらを学んでいる大学院生等の学生
◆定 員
会場・Zoom各50名(先着順) 
※「会場参加」を希望された方は、各回ごとに会場参加かZoom参加を選んで頂くことが可能です。
◆参加費
44,000円(消費税を含む)
◆申込期限
2022年2月28日
※本セミナーは、臨床心理士資格の更新に必要なポイント申請を行っています。

年間テーマ:現代のこども・思春期のこころの世界 (敬称略)

■第1回 5月8日 講師:木部則雄 司会:脇谷順子 事例提示:村田朱美

■第2回 7月10日 講師:内海健 司会:木部則雄 ※講義のみ

■第3回 9月11日 講師:東畑開人 司会:木部則雄 事例提示:坂元龍太

■第4回 11月13日 講師:飛谷渉 司会:木部則雄 事例提示:田中志帆

■第5回 1月8日 講師・平井正三 司会:木部則雄 事例提示:笹村明杜

■第6回 3月12日 講師:鈴木龍 司会:木部則雄 事例提示:阿久津章乃

【講 師】 (五十音順、敬称略)
内海  健 (東京藝術大学保健管理センター)
木部 則雄 (白百合女子大学人間総合学部発達心理学科/こども・思春期メンタルクリニック)
鈴木  龍 (鈴木龍分析オフィス)
東畑 開人 (白金高輪カウンセリングルーム)
飛谷  渉 (大阪教育大学保健センター)
平井 正三 (御池心理療法センター/認定NPO法人子どもの心理療法支援会)
脇谷 順子 (杏林大学保健学部臨床心理学科/認定NPO法人子どもの心理療法支援会)

【事例提示者】 (五十音順、敬称略)
阿久津章乃 (ファミリーメンタルクリニックまつたに)
坂元 龍太 (あざみ野心理オフィス)
笹村 明杜 (ながしまメンタルクリニック)
田中 志帆 (文教大学人間科学部臨床心理学科/浦和さくら草通り心理オフィス)
村田 朱美 (日本赤十字社医療センター小児科)

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2020年度「こども・思春期精神分析セミナー」のご案内 

テーマ「現代の精神分析的アセスメント」

こども・思春期の精神分析は,現代においてもこども・家族の問題解決に最も欠かすことのできない臨床ツールです。その中でもこども・思春期のこころの状態,病理に対する見立てはとても重要です。精神分析的心理療法におけるこども・思春期の精神分析アセスメントにおいては,単にDSMなどの操作的診断基準に基づいた発達障害などの診断名によるラベリングではなく心理,社会,生物学的様々な視点からの評価が必要とされます。心的世界のありさま,家族・社会,生物学的要因といった様々な視点から包括的な評価が行われます。アセスメントはとても難しい作業ですが、これに熟知しない限りこども・思春期の人たちと適切な治療関係や治療構造を築くことはできません。

 尚、本年度は、こども・思春期の他にも、成人のアセスメントについての回を1回設けました。本セミナーを通して、こども・思春期・成人という発達プロセスに応じたアセスメントの共通性と相違性について考える機会になるかもしれません。講師には、米国ホワイト研究所で訓練を受けて帰国された上智大学教授の吾妻壮先生をお招きいたします。また、英国タビストック研究所に留学し、ボウルビィに直接指導を受けた繁多進先生をお招きし、複雑な愛着研究を歴史的な流れを整理して、その展開を論じて頂きます。乳幼児臨床や母子臨床の経験豊富な二人の討論者との対話を通して、愛着についての理解を深めていきます。また、本年度も,当セミナーが日々の臨床活動で,多くの問題意識を感じている参加者の道標となることを期待しています。

                                         主催:こども・思春期精神分析研究会 木部 則雄

◆講師:

1回(510日)         木部 則雄 先生

2回(712日)         吾妻   壮 先生

3回(913日)         繁多   進 先生

4回(118日)          飛谷   渉 先生

5回(19日 )   平井 正三 先生

6回(313日)         鈴木  龍 先生

◆日程:20205月~20213月までの奇数月(全6回)第2日曜日13時~1645

         ※受付開始は1250分からとなります。

◆形式:前半は講義,後半は症例検討 

◆会 場:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター 【※7月のみアルカディア市ヶ谷】

◆対 象:こども・思春期を対象とした精神分析的セラピーに関心のある医師,心理臨床家,もしくは現在専門的にそれらを学んでいる大学院生等の学生

◆定 員:80名(先着順)  ◆参加費:40,000円  

◆【申込期限:2020228日】

※本セミナーは,臨床心理士資格の更新に必要なポイント申請を行っています。             

※午前(9時半~12時)に「グループ・スーパーヴィジョン」(定員12名)も行っています。

*スーパーヴァイザー:木部則雄・吉沢伸一  

*場所:こども思春期メンタルクリニック(セミナー会場近く)

◆申し込み方法:「申し込みファイル希望」という件名のメールをkodomopsycho@yahoo.co.jpまでお送り頂けましたら,申し込み必要事項を記載して頂くエクセル・ファイルを返送致します。そのファイルに必要事項をご入力の上,「2020年度CAPA受講申し込み」という件名で再度上記アドレスにファイルを添付してお送り下さい。

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2020年度 精神分析/精神科・小児科臨床セミナー

【理論編】

 本セミナーでは,精神科・小児科の臨床現場で必須の精神分析の知見と実践を講じます。「総論」「各論」と続き,3年目の2020年度のテーマは「理論編」です。精神分析的な概念は,臨床実践をよりよく理解し関わることに役立ちます。本セミナーでは,主要な精神分析概念を、講師陣による具体的な事例を通して学ぶことを目指します。これらから得られる知は,日々の臨床現場で大きな指針となるはずです。

  • 定員数:60名 
  • 対象者:医療現場に関心のある心理専門職,それに準ずる専門家,研修医等の医師、大学院生
  • 日  程:偶数月の第2日曜日(4/12,6/14,8/9,10/11,12/13,2/14)
  • 受講料:50,000円 
  • 会  場:TKP九段下神保町ビジネスセンター(東京都千代田区神田神保町3-4)          
  • 時  間:10時~16時30分 【講義(90分)+質疑応答(15分)】     
  • ①10時00分~11時45分,②12時45分~14時30分,③14時45分~16時30分
  • 申し込み期限:2020年2月28日
  • 申し込み方法:「精神科/小児科臨床セミナー 申し込みファイル希望」という件名のメールを「psychoanalysis_medical@yahoo.co.jp」までお送り頂けましたら,申し込み必要事項を記載して頂くエクセルファイルを返送致します。そのファイルに必要事項をご入力の上,再度上記アドレスにファイルを添付し,「2020年度 精神科/小児科臨床セミナー 受講申し込み」という件名でお送り下さい。
  • カリキュラム:

    ■第1回 (4/12)                     

    総論                       講師:木部                司会:浅野

    治療構造                 講師:木部                司会:浅野

    自由連想                 講師:浅野                司会:木部

    ■第2回 (6/14)                       

    プレイ                      講師:村田                司会:吉沢

    世代間伝達                       講師:井口                司会:村田

    早期エディプス状況            講師:吉沢                司会:井口

    ■第3回 (8/9)                            

    原始的防衛                       講師:福本                司会:木部

    ポジション論                    講師:木部                司会:福本

    病理的組織                       講師:福本                司会:木部

    ■第4回 (10/11)                        

    神経症的防衛                        講師:高野                司会:伊藤

    エディプス・コンプレックス      講師:伊藤                司会:高野

    抑うつ                  講師:高野                司会:伊藤

    ■第5回 (12/13)                        

    転移・逆転移(大人)                 講師:庄司                司会:吉沢

    転移・逆転移(こども)              講師:吉沢                司会:庄司

    行動化                  講師:吉沢                司会:木部

    ■第6回 (2/14)                          

    思春期自己愛                   講師:朝枝                司会:浅野

    乳幼児観察                        講師:浅野                司会:朝枝

    まとめ                   講師:木部                司会:浅野

  • 講師:

     朝枝  清子   クリニックおぐら 精神科医

     浅野美穂子   こども・思春期メンタルクリニック 精神科医

     井口  由子    こども・思春期メンタルクリニック/市ヶ谷心理相談室 臨床心理士・公認心理師

     伊藤  幸恵   こども・思春期メンタルクリニック/ 心の杜・新宿クリニック 臨床心理士・公認心理師

     木部  則雄   白百合女子大学文学部発達心理学科/ こども・思春期メンタルクリニック 精神科医 

     庄司  剛    心の杜・新宿クリニック 精神科医    

     高野  晶    心の杜・新宿クリニック 精神科医・心療内科医

     福本   修   代官山心理・分析オフィス/長谷川病院/ きしろメンタルクリニック 精神科医

     村田  朱美   日本赤十字社医療センター小児科 臨床心理士・公認心理師

     吉沢  伸一    ファミリーメンタルクリニックまつたに 臨床心理士・公認心理師

                                     (五十音順・敬称略)

  • 事務局:〒162-0844 新宿区市谷八幡町16 市谷見附ハイム609

     こども・思春期精神分析研究会内 Mail:psychoanalysis_medical@yahoo.co.jp


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